Vol2.「お互いの幸せは努力の先にあり」

弊社代表廣瀬との第2回目の対談のお相手はドッグトレーナーの磯野麻衣子さんです。

磯野さんは2009年からイギリスと日本にて犬に関わる勉強を始めイギリスのガンドッグトレーナーの第一人者でもあるフィリッパ氏の弟子として経験を積まれました。また現在、「ガンドッグスポーツ競技」を日本でも広めるため、技術指導や競技の普及にも力を注がれています。質の高い充実した暮らしを送るためには愛犬を理解し信頼関係を築くこと。そして共に楽しむためのツールを飼い主さんに多くもってもらうため日々トレーニングを通して皆さんにご指導されています。

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高校を卒業する段階でその先の人生を考えた

磯野トレーナーが18歳の時に、私の昔の同僚のドッグトレーナーが営む施設での出会いでしたね。

本当ですね!月日が経つのは早いですね。私がイギリスにいく前に初めて日本でホイッスルを使って飛び戻しが出来ている犬。それが廣瀬さんの相棒犬ルースでした。その時に痺れるほど感動した気持ちは今でも覚えています。廣瀬トレーナー&ルースの関係性のように私自身も今こうして当たり前にやっていることが誰かの心に痺れるほどの感動を与えたいと思っています。ルースは今でも初心にかえることが出来る思い出の犬なんです。

そうでしたか。ルースの存在がこうして今でも誰かの心に残っていることが本当に嬉しいです。ありがとうございます。磯野トレーナーは高校を卒業してすぐ渡英されドッグトレーナーを目指されましたね。

はい。でも私自身この仕事に興味を持ったきっかけというのが「犬がすごく好きだから」というのが一言目に来ないんです。今になって思うこととしては、よっぽど私よりも犬が好きな人は山ほどいるなって思います。はじめて犬を飼ったのは高校生でしたがその時に初めてドッグトレーナーの堀尾先生との出会いがありました。自分の犬がトレーナーの関わり方で変わることを目の当たりにし、犬と人とのコミュニケーションの繋ぎ方、言語ではないものでどうやったら犬と距離を縮められるのかというところにとても興味を持ちました。トレーニングというものを取り入れることによって、犬と絆を深めることができたり、阿吽の呼吸が取れるようになったり、意思疎通が取れるようになることにとても面白さを感じ、必然的な流れで高校卒業後すぐに堀尾先生(エヌワンクラブ ワンコのひみつきち代表)が一緒にイギリス連れて行ってくれました。

それがフィリッパ先生のところだったんですね。

はい。そこでガンドッグという存在も知り、はじめはビザが取れず、日本とイギリスを半年毎に行き来して、日本では堀尾先生の元経験を積ませて頂きました。

ガンドッグ競技の魅力とは

磯野トレーナーは数々のガンドッグ競技に出場し功績を残し日本で唯一の、本場英国ケネルクラブ・フィールドトライアルジャッジの認定資格をお持ちです。

イギリスでガンドッグ競技と言うとレトリバーの回収競技を指すんですよね。主にどんなことをするんですか?

競技では犬たちが撃ち落された鳥もしくはダミーをハンドラーの指示に従いながら回収してくるというものです。犬たちは探す・止まる・右・左・咥えて持ってくるなどの行動一つ一つをハンドラーの指示のもと動きます。これは人と犬の意思疎通ができていないとなしえない競技なんです。

なるほど。意思疎通は日頃からの関係性が大いに影響してきます。磯野トレーナーの犬たちの表情ですべてが垣間見えます。喜んで側にいて、喜んで指示を聞き、行動していますよね。犬たちとコミュニケーションを取るうえで大切にしていることは何ですか?

そうですね、一方的に自分の都合で犬を動かさないように生活を整えること。そして犬が『私といて楽しい』と思えることを取り入れるようにしています。喜ぶという言葉じゃなくて、『楽しい』という言葉を選ぶ理由としては、相手が喜ぶと思うことって、意外と一方通行だったりしますよね。やっぱり楽しいっていうのは楽しいかどうかをこっちが確認しなきゃいけないし、期待している表情を見つけるために観察も必要です。その犬種のルーツを含め、ちゃんと犬を知り、理解することではじめてその犬が楽しいことが見えてくる。

結局、犬達も飼い主さんと一緒にいることが楽しいと思えるように導いてあげることが重要ですよね。

信頼を育むのは日々のコミュニケーション

本当にそうなんです。そのお互いの『楽しい』を探すために努力をするわけですよ。一概に楽しさを求めるのではなく、その楽しみのために日々のトレーニングであったりコミニュケーションのブラッシュアップがある。あの苦労があって、汗水流す努力があってはじめてこの犬たちと繋がる。そして本当の楽しさがあるというのを忘れちゃいけないと思います。

全く同感です。ルースはラージミュンスターレンダーという猟犬でしたが、第三者からみれば本当に良い子だね飼いたい!とよく言われましたが、そこに至るまでには自転車数台潰し、情けなさで外に出るのも嫌になるほど、影では様々な血の滲むような(大笑)努力がありました。

だから私はルースと廣瀬さんとの関係に痺れるほどの感動を覚えたんですね!やはり努力の先に本当の楽しさや繋がる関係が持てるのだと思います。

繋がって絆を結べた喜びは何事にも変えられませんね。そこが犬と暮らす最高な部分だと実感しています。

本当にそう思います!

犬との暮らしにおいての海外と日本との違い

磯野トレーナーは海外に行って日本の飼い主さんとの違いなど何か感じることはありましたか?

イギリスは犬とともに暮らすという歴史の長さの違いはあるのでしょうが、やはり犬を犬として理解し尊重したうえで家族に迎え入れていると感じます。

尊重するにはまずは犬を知ることですよね。

その通りです。その犬種のルーツを調べたり、自分がその犬と暮らす上で何ができるのか、いかにライフスタイルと合わせることができるのかをちゃんと考えることでしょうか。

犬は人間とは違うという事をしっかり理解することが重要なのですが、まだまだ日本では履き違えている部分が多いと感じています。

そうですね。日本では「間」が抜けている気がします。昔は外につないで番犬で、それが世の中のスタイルが変わり家の中に入ってきたと思ったら今は着せ替え人形やいつまでも言葉の通じない子供をあやすような扱いとなっていることが多いと感じます。

犬としてちゃんと理解ができれば接し方も変わり、予防対策も踏めるので問題行動と呼ばれるものも減りますね。

接し方と言えば日本人は初めて会う人に対してあまりはしゃがずにちょっと自分を隠す傾向にありますよね。でも仲良くなったら急に声のトーンが高くなる。欧米の人は逆なんです。はじめての相手には挨拶の時「Hello~!How are you~!!」と声のトーンをあげて自分の持っているもの以上のもので相手に伝える。そして仲良くなるほど声のトーンを下げ落ち着いた挨拶になるんです。

なるほど、なるほど!本当にそうですね!

犬に対してもそうだと思うんです。家族として絆が深まってるほど落ち着いたトーンで伝える。それを日本人だと「冷たい」という印象を持つ人がいたり、トレーニングでも捉え方を間違えて太く低いトーンで「命令」みたいな口調になる方もいます(笑)毅然とした態度と表現することもありますが、もうちょっと落ち着いて「冷静」に伝えたいことを伝えてみたらどうですか?とお話ししますが欧米とはここの塩梅がすごく違うんだなぁと感じます。

威厳があるかないか、媚びてきているかどうか。やはりその人が発する波動なんですよね。犬はそこをすごく良く見ています。

命令でもなく、冷静に伝える。冷静に伝えるのはけして嫌いだからとか信頼してないからではないのにそのニュアンスと声のトーンの使い方が日本人は難しいんですね。人間の子供だっていつまでも5歳児みたいに扱うわけではないじゃないですか。

でも犬にはずっと子供に伝えるような口調や扱いをしているから飼い主さんの思いや愛情が残念ながら伝わっていないことが多いですよね。

はい。声掛け一つとっても犬がちゃんと耳を傾けているかを確認することが大切ですね。

犬はけしてご飯をあげる人が1番好きなわけではないですからね。
その犬を理解して犬として尊重して接してくれる人に心を開きますからね。犬も心の状態が表情にちゃんと現れます。よく私は飼い主さんにトレーナーを探すときはそのトレーナーさんの犬を見てくださいと伝えます。磯野トレーナーの犬は本当に良い表情をしていますね。

どこの国でも私を含め飼い主さんの多くは仕事をしながらの毎日ですから、やはり自分の愛犬のために何かしてあげるっていうのが最近欠けていると感じる時もあるわけです。そう思ったら時間を作ってでも犬が満たされる散歩をしてあげるなどコミュニケーションを大切にしたり、あとは食事を見直すことも大事だと感じます。例えばマンネリ化してないかとか。私自身、どんなことも犬から見て偏った考えや見方になっていないかというところを常に大切にしています。

イギリスと日本の食事事情

磯野トレーナーは生食を取り入れてますが、イギリスの犬たちの食事はどうですか?

今は生食が大・大・大ブームですね。数えきれないほどの会社があり、各社生食の競争社会となっています。

動物たちの体にとってはやはり生食など手作り食が新鮮なたんぱく質や水分がしっかり取れますよね。ヴィションズで手作り食やトッピングを推奨している理由がそこにあります。ただ一番は飼い主さんが納得し自信をもって与えること。そして継続できるかも重要な要素だと思います。

そうですね。環境によって大きく左右されますよね。日本ではお肉が高いし、クオリティーを求めたらなかなか続けられませんよね。イギリスは人より家畜の数が多くその分お肉が豊富にあり安くて始めやすいんです。ドッグフードの方が逆に高いんですよ。日本に戻ってきて違いにびっくりしています。

イギリスでは生食をあげてる飼い主さんはどれくらいいるんですか?

そうですね、半分くらいですかね。でも生食を知らない人はいないと思います。なぜかというと意識が高いからというのではなくてお肉が安くて手軽に始められるからなんです。他の国の人に聞くとやはり生食は流行っていないと言います。やはり家畜の量の差ですね。

イギリスは恵まれた環境で羨ましいですね。

でも私自身、ヴィジョンズのフードでとても助かってるんです。特に暑い季節などは生食だと宿泊先の冷蔵庫の大きさも気にしなくてはいけないし、とても大変だったんですが、今や地方に行く際はヴィジョンズのフードを持って近くのスーパーでちょろっとお肉やお野菜を買ってトッピングで与えてます。何より犬たちが全く抵抗なくすんなり受け入れて喜んで食べてくれるし、これは災害時にの助けにもなる!と本当に安心しました。

生であっても、ボイルであってもそしてドライフードであってもなんでも食べられること。そしてその栄養を吸収できる丈夫な体にしておくことが一番大切です。それには食べ物は基本にありますが、飼い主さんとの関係性も大いに影響します。磯野トレーナーが行っているガンドッグトレーニングは飼い主さんに必要な日々の関係性に気づくためのもの。また、真の関係性を取り戻す方法を学べると思います。

これからの目標

磯野トレーナーがガンドッグを日本で広めるにあたっての目標は何ですか?

目標は日本チームを世界大会に持っていくことですね!その思いでやってきました。日本に帰国してもうすぐ7年が経ちますが、ようやく私がやってきた軌跡をフィリッパに見せられるようになったんじゃないか、そして世界大会に持っていけるという自信に変わりました。 3月にフィリッパに来日してもらいセミナーを開催することにな
りました。是非この機会に多くの飼い主さんが関係性を築くきっかけになればと思います。現在犬あり参加は締切、各日セミナー見学参加は受付中!見学だけでも関係性の構築にとても勉強になると思います!

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